中古マンションを売却する側としては、少しでも高く売りたいと考えるのが普通ですが、景気動向、不動産流通マーケットの需給バランス、物件そのものの評価などによって、希望する金額で売りに出すことが難しいケースもあり得ます。
今回は、売主様なら誰でも気になる、中古マンションの売却価格に影響を与える14のポイントについて見ていきたいと思います。
中古マンションの「不動産査定」とは
前回のブログでも書きましたが、不動産の場合、物件それぞれの個別要因や市場環境・経済動向から大きな影響を受けるため、正確な価格を算出することは簡単ではありません。
そのため、不動産を売却する際には、仲介会社による不動産査定額を、売り出し価格の参考指標とすることが一般的になっています。
不動産査定の方法には、「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定(本査定)」の2つがあり、「机上査定(簡易査定)」は、不動産個別のデータと過去の取引事例・路線価などの資料だけで価格を算出しますが、「訪問査定(本査定)」は、実際に物件を訪問し、内装・設備などの現状も踏まえて価格を算出します。
中古マンションの本査定では、次の14項目を中心に、スコアリング方式で評点を出して査定する手法を採用することが多いと思われます。比較対象となるマンションに比べて、優れていればプラス◯点、劣っていればマイナス◯点という具合に点数を合計し、査定価格に反映していきます。
中古マンション査定で重要な14項目
中古マンションは、ひとつの建物に多数の世帯が居住する「集合住宅」であることから、「マンション管理」が査定価格に大きな影響を与えます。
特に近年では、築年数が40年を超える中古マンションも増えてきており、管理状況の悪化が原因で、低い査定価格になってしまうマンションも出てきています。
それでは、中古マンション査定で重要な14項目について、見ていきましょう。
1.敷地権の種類
マンションの建物登記簿には、「敷地権の表示」という項目があり、そこに「敷地権の種類」が記載されています。
多くのマンションは「所有権」で、持分割合(敷地権の割合)も記載されていますが、借地権付マンションというのも稀に存在します。
所有権以外では、マイナス点となります。
2.築年数
中古マンションに限らず、建物については、築年数が浅く新しければ新しいほど評点は高くなります。
3.交通の便
中古マンション査定の最重要項目の一つが「最寄り駅までの距離」です。一般的に、最寄り駅から徒歩6分まではプラス点、それ以上は1分ごとにマイナス点が増えていくことになります。
4.階数
一般的には、3階以上がプラス評価となりますが、1階が専用庭付きであったりする場合は評価が変わってきます。
1階が駐車場になっているマンションでは、小さい子供さんのいるご家庭は2階を希望されることも少なくありません。
プラス評価がつかない=売れないではありませんので、十分ご注意ください。
5.方位、向き
従来から日本人は南向きにこだわる人が多いこともあり、南向きバルコニー評価が最も高くなります。続いて東→西→北と評価が下がっていくため、南向きの中でも南東→南西の順に高評価となっています。
6.住戸の位置(角住戸・中住戸)
マンションでは、角住戸であれば3面バルコニーなど採光部分が多くなるため高評価になります。ただし、中住戸の方が、冬に暖かく夏もそれほど暑くならないことから、こちらを希望する方も少なくありません。
7.間取り
中古マンションの場合、購入と同時にリフォームする方が多いこともあり、単純な部屋数よりも柱や梁が出ていないかや、家事導線の良さなどが評価ポイントになります。
8.マンショングレード・室内設備
近年では、ブランドマンションと呼ばれる大手不動産会社が供給する高級マンションシリーズが高く評価される傾向にあります。外観やエントランス部分の高級感と合わせて、専有部分のシステムキッチン、バス・トイレ、床材、建具等のグレード感が評価されます。
9.管理状況・管理員の勤務形態
マンション管理員の勤務形態は、下記の4つに分かれます。
- 常駐管理(住込)
- 日勤管理
- 巡回管理
- 無人管理(自力、自主管理)
管理員の勤務時間が長い常駐管理の方が、行き届いたマンション管理を実現できることもあり、高評価につながることが多いのですが、近年は人件費負担の問題もあり、日勤管理が主流になっています。
また、「長期修繕計画」を実現するために十分な修繕積立金を保有しているかどうかも、大きなポイントです。
10.駐車施設の有無
住戸数に対する駐車場の充足率や駐車場設備が機械式か平面かなどを中心に評価します。
駐車場料金は、管理費や修繕積立金に充当されることになりますので、予定よりも空きが多いと管理費不足、積立金不足に陥ってしまいマイナス評価となります。
11.日当たり、眺望
バルコニーの前が公園や川などで、将来にわたって日当たり、眺望が変わらない場合は高評価になります。
日当たりは良いに越したことはありませんが、西日本地域では西陽を避けたがる傾向が強くなるため、入居者の生活パターンによって評価が分かれる場合があります。
12.騒音、振動、嫌悪施設の有無
大きな幹線道路や線路に面していないか、付近に音や振動を発する施設がないかといった環境
面を評価します。
近くに不快感・嫌悪感を与える施設(原子力関連施設、廃棄物処理場、下水処理場、火葬場、軍事基地、刑務所、ガスタンク、火薬類貯蔵施設など)の有無も評価のポイントになります。
13.室内の状況
中古マンションの場合、リフォームを前提に購入する人も多くなっていますが、室内状況が極端に悪いとマイナス評価となります。
喫煙やペット飼育での汚れや破損、設備機器の故障などは低評価に直結するため、注意が必要です。
14.生活の利便性
スーパーやコンビニなどの買い物施設、銀行・郵便局などの金融機関、病院・歯科医院などの医療機関が近くにあるかどうかも、評価対象となります。
繁華街が近いと利便性は高くなりますが、騒音や治安の点でバランスを欠く場合は評価が下がることもあります。
マンション査定では、最終的に上記の14項目を中心に評価ポイントをまとめ、同じエリアの成約事例をもとに、直近3ヵ月程度で売れるであろうと思われる水準を査定価格として算出することになります。
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