最近、テレビCMなどで「リースバック」という言葉を聞くことが増えてきました。不動産売却に関する新しいサービスということもあり、具体的に何のことかわからない方も多いかと思います。
リースバックは、短期的に現金が必要な方にとっては有効なサービスですが、一方で様々なデメリットも指摘されています。
今回は、リースバックの概要やメリットとデメリットなどを詳しくご紹介します。
リースバックとは
リースバックとは、現在所有している住宅やマンションなどを不動産業者等に売却し現金を得るとともに、買主に対してリース料（家賃）を支払うことで、引き続き住宅・マンションに住み続けることができる取引を指します。
現在の住宅・マンションに住み続けたいが、直近でまとまった現金が必要という場合に、リースバックは非常に有効です。
ただし、売却金額より住宅ローンの残債が大きい場合は、抵当権を抹消できないためリースバックを利用できません。売却金額で住宅ローンを完済できる場合にのみ利用できるという点に注意が必要です。
リースバックのメリット
リースバックは、他の不動産売却方法には無いメリットとデメリットがあります。
自分に合った手法かどうかを見極めるためにも、メリットとデメリットを十分理解することが重要です。
まずはリースバックのメリットから見ていきましょう。
まとまった現金が手に入る
リースバックを利用することによって、不動産の売却金額を現金で手に入れることができます。
老後資金、病気の治療費、事業資金など、短期的にまとまった額の現金が必要になった際にリースバックを活用することができます。
住宅ローンを利用していると、残債の大きさによっては、新たに借り入れすることが難しい場合がありますが、リースバックであれば住宅ローンを完済したうえで、まとまった現金を手に入れることができます。
新たなローン審査に通りやすくなる
リースバックでは、住宅ローンが一旦完済されることになるため、新たなローンを借り入れる際の審査に通りやすくなります。
リースバックによる、まとまった現金と新たな借り入れによる現金を合わせて活用することができるメリットがあります。
退去する必要がない
現在所有している不動産を単に売却した場合、退去する必要がありますが、リースバックであれば、引き続き売却した不動産に住むことができます。
子供の学区や職場、親族との関係などの理由で引っ越せない場合など、リースバックは有効です。
不動産の売却を知られる心配がない
リースバックの場合、現在の住宅から立ち退く必要がないため、近隣の方々に売却を知られる心配がありません。
売却を内密にしたい方にとって、リースバックはメリットの大きい不動産売却方法です。
買い戻すことも可能
単純な不動産売却の場合、売却した不動産を買い戻せる可能性は低いと言わざるを得ません。買い戻しの可能性があったとしても、有利な取引になるとは考えにくいでしょう。
また、買い戻し特約をつけた場合は、時効が10年に設定されていることもあり、10年以内に買い戻す必要があります。
リースバックであれば、将来的に買い戻すことを前提とした契約が可能ですし、時効もないため、焦らず買戻しを目指すこともできます。
税金や修繕積立金の負担なし
リースバックも不動産売却の一形態であり、不動産の所有権は買主に移ります。
そのため、買い戻すまでの間、固定資産税や修繕積立金は買主の負担となり、リース期間中の修繕費なども買主に請求することができます。
ただし、通常の賃貸と同じく原状回復義務を負うため、故意や過失による破損や汚染などは、借主負担での修繕が求められます。
リースバックのデメリット
リースバックは、単純な不動産売却に比べて様々な条件が付くこともあり、買い手が限定されてしまいます。
そのため、売却額やリース料（家賃）、買戻し価格などで不利になる場合があります。
リースバックのデメリットについて、詳しくみていきましょう。
売却額が安くなりやすい
不動産売却額については、単純な売却に比べてリースバックの方が安くなりやすい傾向があります。
「多少売却額が安くなっても、単純売却にはないメリットを享受したい」という方はリースバックに向いていますが、売却額にこだわるのであれば単純売却の方をおすすめします。
リース料が家賃相場よりも高くなりやすい
毎月、買主に支払うリース料が家賃相場よりも高くなりやすいため、長期的に見ると損をすることになります。
将来、買い戻せない可能性もある
買い戻し価格は、売却時よりも高くなる傾向が強く、将来の見通しがなければ買い戻すことは難しくなります。
将来的な計画があったとしても、状況が変化して買い戻せなくなる可能性もありますので、十分に事前の検討が必要です。
リースバックに対応できる不動産会社が少ない
リースバックは買い戻しを前提とした契約が可能ですが、買主となる不動産会社および各種事業者とは長期的な関係性を維持する必要があります。
しかしながら、現状ではリースバックに対応できる不動産会社が少ないため、選択肢が限られてしまいます。
買主側の破綻など将来的なトラブルも考えられますので、信頼できる不動産会社や各種事業者が見つかるまで、慎重に行動することも必要だと考えます。
リースバックのまとめ
リースバックでは、不動産を売却することで多額の現金を手に入れられるうえに、将来的に買い戻すことも可能です。
また、引き続き売却した不動産に住み続けられるため、生活を変える必要もありません。
一見メリットが大きいリースバックですが、近年急速に認知され始めた売却手法であり、まだまだ法整備が不十分なところもあります。
リースバックを検討するのであれば、デメリットを十分に理解した上で、単純売却と徹底的に比較することをおすすめいたします。
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