売主様必見!知っておきたい売主の義務と責任について

不動産トピックス

不動産売却時に、売主として果たすべき義務と責任には、どのようなものがあるのかご存知でしょうか。

2020年4月1日からは、120年ぶりの民法改正によって、売主の瑕疵担保責任が大きく見直されることになります。
今回は、不動産売却における売主の義務と責任について解説いたします。

土地・戸建てを売却する際の「境界明示義務」

土地・戸建てを売却する際、売主は買主に対し、「土地の境界」を明示する義務があります。

マンションの場合は、事業主であるマンションディベロッパーが、建築する際に敷地境界を確定していますので、仲介で売却する際にはあらためて明示を求められることはありません。

土地や戸建てを売却するには、最初に「確定測量図」または「筆界確認書」があるか確認する必要があります。
※確定測量図:土地境界が確定している場合に発行される測量図
※筆界確認書:隣地所有者との間で境界確認した際の覚書

土地の境界が未確定の場合には、事前に測量を依頼して、境界の確定を行う必要があります。
境界確定に要する費用は、隣接地の筆数や所有者の数によって異なりますが、概ね50~100万円程度の費用はかかると思われます。

また、近年では隣地所有者が高齢であったり、不明であったりすることで、境界の確定ができないトラブルも増え、一種の社会問題になってきていますので注意が必要です。

境界が確定していない物件も、絶対に売却できないというわけではありませんが、境界未確定ということで、値段を下げざるを得ない状況に追い込まれることも少なくありません。

土地境界の確定には、費用と時間がかかりますので、信頼できる測量会社に早めに相談するようにしましょう。

土地・戸建て・マンションを売却する際の「瑕疵担保責任」

前述した「境界明示義務」にプラスして、不動産を売却する際には、「瑕疵担保責任」が課されることになります。

「瑕疵担保責任」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるとは思いますが、実際にはどのような内容なのでしょうか。言葉の意味も含めて、詳しく見ていきましょう。

瑕疵担保責任の「瑕疵(カシ)」とは、「通常有すべき品質を欠くこと」を意味し、対象となる瑕疵には、「物理的瑕疵」、「法律的瑕疵」、「環境的瑕疵」、「心理的瑕疵」の4つがあります。

  • 物理的瑕疵:建物の雨漏り・シロアリ・家の傾き、土地の土壌汚染・地中障害物等
  • 法律的瑕疵:法令等の制限により取引物件の自由な使用収益が阻害されているもの等
  • 環境的瑕疵:近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近くに反社会的組織事務所があり安全で快適な生活が害されるおそれが高いようなもの等
  • 心理的瑕疵:取引物件で過去に自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において住み心地の良さを欠くもの等

民法では、買主は瑕疵を発見後1年間、売主に対し損害賠償の請求または、契約目的を達成できない場合は解除を請求できることになっています。

ただし、この規定は当事者同士が合意をすれば変更可能な任意規定とされており、不動産売却では、売主は引き渡しから通常3ヶ月間、瑕疵担保責任を負うと定めることが一般的になっています。また買い主の同意を得られれば、瑕疵担保責任を一切免責することも可能です。

しかしながら、売主が瑕疵の事実を知っていたにも関わらず告げなかった場合は、契約で免責と規定されていても瑕疵担保責任を免れることはできませんので、十分注意が必要です。

民法改正により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へ

従来は前段の解説にあった「瑕疵担保責任」という規定でしたが、2020年4月1日の民法大改正により、「瑕疵担保責任」は廃止され、「契約不適合責任」が規定されることになりました。

瑕疵担保責任の「4つの瑕疵」という概念について完全否定されるわけではありませんが、契約不適合責任では「種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないもの」は売主が責任を負うという規定に代わり、売主に求められる責任の範囲も広くなっています。

従来、買主が売主に請求できる権利は、「損賠賠償請求」と契約の目的を達成することができない場合の「解除」の2つに限られていましたが、改正民法では、目的物の補修等を要求する「追完請求」と、代金を減額する「代金減額請求」が新たに追加されました。

契約不適合責任も売主買主双方の合意によって内容を変更できる任意規定となりますので、従来の瑕疵担保責任と取り扱いが大きく異なることはありませんが、「追完請求」と「代金減額請求」ついては、具体的な適用事例が少ないこともあり注意が必要です。

民法が改正されても、売主として知っている瑕疵を正直に全て伝えることが重要である点は変わりません。
値引き交渉を恐れて、瑕疵の告知を避ける方もいますが、後から損害賠償を追及されるリスクを抱えることになりますので、絶対に避けるべきだと考えます。

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